「損なわれる南アルプスの自然環境と同等以上の代償措置を実施」できるのですかね?
昨日開かれた静岡県中央新幹線環境保全連絡会議 第13回生物多様性部会専門部会において、JR東海が提出した資料には次のように書かれていました。
回避・低減措置を講じたとしてもなお残ってしまう自然環境の損失に対しては、影響により損なわれる南アルプスの自然環境と同等以上の代償措置を実施します。

本当に実行可能なのでしょうか?
どうも「絵に描いた餅」じゃないかと思うのです。
ここでいう「回避・低減措置を講じたとしてもなお残ってしまう自然環境の損失」とは、言うまでもなく沢の流量減少にともなう水生生物などの生息環境の損失・劣化を指しています。説明は以下のように続きます。

代償措置が威力を発揮するのは、もともと開発により人為的な改変度合いが強くなっている場ではないかと思います。
例えば、メダカやタガメやミズアオイなどのみられる谷津田が開発で失われそうになった際に、近くの外来植物だらけの耕作放棄地を利用し、代わりの湿地を造成しそこに移殖するようなケースが考えられます。このようなケースなら、生物多様性の失われた耕作放棄地を多様な生物の住む環境に生まれ変わらせることになりますので、現状の環境と同等以上の代償措置といえるかもしれません。
だけど、ここは南アルプスの山奥なんですよね。
先のJR東海資料にあった蛇抜沢とはこんなところ。

【2023年夏、現地を訪れた方がドローンで撮影したもの】
最近、現地を撮影した動画がYouTubeで配信されています。
https://youtu.be/tauWKf428fo?t=22
蛇抜沢は水力発電の影響は受けておらず、放流魚のニッコウイワナも少ないと考えられます。沢沿いに登山道はなく、禁漁区に指定されているので、人手はほとんど入っていないといえるでしょう。現時点では良好な環境を保っていると考えられる場所なので、ここを失った際に「同等以上の代償措置」を行うことは難しいと思います。
代償措置の概念に基づけば、どこか他に環境の悪化している沢を探し出し、そこの環境改善を狙うこととなりますが、そんなに都合の良い場所があるとも思えません。また、他の沢でも流量減少が生じたら、代償措置の規模は非常に大きくならざるを得ません。
それに・・・・熟達の登山者しか入れないような場所なのに、どうやって調査や移殖を行うつもりなのだろう。
回避・低減措置を講じたとしてもなお残ってしまう自然環境の損失に対しては、影響により損なわれる南アルプスの自然環境と同等以上の代償措置を実施します。

本当に実行可能なのでしょうか?
どうも「絵に描いた餅」じゃないかと思うのです。
ここでいう「回避・低減措置を講じたとしてもなお残ってしまう自然環境の損失」とは、言うまでもなく沢の流量減少にともなう水生生物などの生息環境の損失・劣化を指しています。説明は以下のように続きます。

代償措置が威力を発揮するのは、もともと開発により人為的な改変度合いが強くなっている場ではないかと思います。
例えば、メダカやタガメやミズアオイなどのみられる谷津田が開発で失われそうになった際に、近くの外来植物だらけの耕作放棄地を利用し、代わりの湿地を造成しそこに移殖するようなケースが考えられます。このようなケースなら、生物多様性の失われた耕作放棄地を多様な生物の住む環境に生まれ変わらせることになりますので、現状の環境と同等以上の代償措置といえるかもしれません。
だけど、ここは南アルプスの山奥なんですよね。
先のJR東海資料にあった蛇抜沢とはこんなところ。

【2023年夏、現地を訪れた方がドローンで撮影したもの】
最近、現地を撮影した動画がYouTubeで配信されています。
https://youtu.be/tauWKf428fo?t=22
蛇抜沢は水力発電の影響は受けておらず、放流魚のニッコウイワナも少ないと考えられます。沢沿いに登山道はなく、禁漁区に指定されているので、人手はほとんど入っていないといえるでしょう。現時点では良好な環境を保っていると考えられる場所なので、ここを失った際に「同等以上の代償措置」を行うことは難しいと思います。
代償措置の概念に基づけば、どこか他に環境の悪化している沢を探し出し、そこの環境改善を狙うこととなりますが、そんなに都合の良い場所があるとも思えません。また、他の沢でも流量減少が生じたら、代償措置の規模は非常に大きくならざるを得ません。
それに・・・・熟達の登山者しか入れないような場所なのに、どうやって調査や移殖を行うつもりなのだろう。
この記事へのコメント
リニア中央新幹線など新規事業に限定した話ではないものの、長野県では県建設部が東大の研究室とインフラ維持技術で連携する協定を結んだそうです。これから全く新しいインフラを建設しようというなら、産学官連携が大前提だと思います。公共機関に関わる技術のニーズや限界を見極めるのは自治体の責任ですし、不可能とわかれば、撤退の判断も的確に行われることを期待したいです。
リニアを推進してきた岐阜県知事は再出馬をしないそうですね。長野県や山梨県でも既に公害が現実のものとなりましたが、長野県と岐阜県の沿線自治体は何事もなかったようにリニアを推進する方針です。
ただ、連日列島各地が大揺れで、昨晩の神奈川県西部の地震では松本市もだいぶ揺れました。改めて、リニアトンネルからの避難の困難さが思い浮かびました。
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長野県建設部と東京大学生産技術研究所水谷研究室は連携協力に関する協定を締結しました
長野県(建設部)プレスリリース 令和6年(2024年)8月8日
https://www.pref.nagano.lg.jp/michikanri/happyou/240808press.html
長野県建設部と東京大学生産技術研究所水谷研究室は密接な連携協力のもと、インフラマネジメント技術の研究開発を推進するとともに、新産業創出、人材育成等への寄与を目的に、以下のとおり連携協力に関する協定を締結しました。
1 締結日
令和6年(2024年)8月1日(木曜日)
2 協定の相手方
東京大学生産技術研究所水谷研究室 准教授 水谷 司
3 協定締結の背景
東京大学では内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、従来のインフラ点検では困難な構造物内部や不可視部分を短時間で解析し可視化する技術の研究開発をしています。その研究に長野県内の企業も協力機関として参画しており、研究が実用化されると本県の道路メンテナンスに有益であると考え、この度、協定を締結するに至りました。
4 連携協力事項
(1)インフラマネジメント技術の研究開発
(2)インフラ調査に関わる新技術開発及び社会実装に係る実証実験
(3)インフラ調査に関わる新技術を活用した新産業創出及びそれを支える マネジメントシステムの高度化
(4)インフラマネジメント技術に関連した人材の育成
(5)実証実験の公開等アウトリーチ活動 等