茂木健一郎氏のヘンな話

茂木健一郎の脳の教養チャンネル

というYouTubeチャンネルで

中央リニア新幹線への反対に見る、「反技術主義」の底の浅さ。「自然」という言葉にどんな幻想をいだいているのでしょう。
https://youtu.be/T_PZEnF4xbQ?t=2
と題する動画が配信されておりました。今年4月3日配信だそうです。

茂木氏は、リニア中央新幹線事業に対して反対、慎重な姿勢を「反技術主義」と評しています。

リニアのような新しいモノに対して否定的な態度をとるのは、反技術主義=反知性主義=反科学主義=反進歩主義=左であって、「やっぱりヘン」なのだそうです(2:30以降)。

左って左翼のこと? なんのこっちゃ。

それはともかく。

新しいモノ・コトにはどうしても予期できぬリスクやデメリットがつきまといます。そのリスクやデメリットを引き受けて、あるいは他人に押し付けてまでして進めるべきか否か考えるのは当然です。リニアのような国家”的”プロジェクトならなおさらです。ろくに考えることもせず能天気に賛同する方がよっぽど困ります。

そのように考えたうえで「リニアいらなくね?」と思う人が結構多いんじゃないのでしょうか。

それを「反技術主義」だの「反知性主義」だの何だのと上から目線でヘンテコなレッテル張りなんぞしないほうがいい。


なお、こんな動画もありました。
静岡県の川勝知事が反対していても、リニア着工してしまえばいいのではないか。一見暴論のようだけど、その理屈はこうです。 
https://youtu.be/FI0BPFtnQhY?t=62

7ヵ月前からコメントが全く増えてないのが気になります。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇



時速500キロ走行を実現させるための条件をネガティブに書き連ねれば、
・乗客一人当たり既存の新幹線の4倍以上の電力を消費し、
・普通の乗り物なら不要な磁界対策が必要となり、
・やたらに大掛かりな分岐設備が必要で、
・高価な液体ヘリウムが欠かせず(高温超電導の開発が完了した話はまだ聞かない)、
・ほとんど曲がれないから土地条件・土地利用はいっさい無視してルートを設定せざるを得なく、
・沿線の利便性は無視して駅間がやたらに長く、
・JR各社間の利害調整を回避するために在来線との接続は無視し、
・住民との合意形成を省くために首都圏・中京圏では大深度地下利用制度を適用し、
・ひたすらトンネルを掘って水枯れと膨大な残土処理を沿線に押し付け、
・南アルプスに長大トンネルを掘ることで”沿線外”の静岡県に環境破壊を押し付け、
・地上区間は日照を遮る不格好な防音防災フードで覆わざるを得ない。
って感じじゃないのかな。

簡潔にまとめると
「東京・名古屋・大阪の利便性向上のために沿線がエライ迷惑(と少しのメリット)を受ける走行技術。とにかく事業計画全般に融通が利かない。普通の新幹線では無用な設備が必要になるので余計にカネがかかる。」



シロウトながら、乗り物としては筋の悪そうな技術に思われます。

ミクロな視点では、「流量減少が予想される大井川支流の蛇抜沢や悪沢において水生生物相をどのように把握し、どのような保全措置をとるべきか」といった類いの、技術的な解決方法の目途が立ってない問題も山積みですね。

このほか

「人口減少局面なのに」
「二重系統化なら北陸新幹線でいいじゃん」
「東京への一極集中化が進むのではあるまいか」

など、技術や科学とは直接に結びつかない疑問もいろいろあるわけです。

この記事へのコメント