新年早々のトンデモ記事

年明け早々にひどい風邪をひいて、しばらくダウンしておりました。熱が下がってから1週間あまり経ったものの、いだまに頭がすっきりとしません。

そんな中で見つけた今年最初のトンデモ記事。風邪の症状とは関係なく頭が痛くなってしまうのであります。

静岡県知事の‟爆弾発言”で騒然…リニア問題の最大の懸念「静岡工区着工」はいつになるのか
https://news.yahoo.co.jp/articles/2185eb0a8e589d94e7feb04602fa5f6e4d53d981

まあ、記事を書いたのが小林一哉氏なんですけど。。。


1月5日に東京新聞に掲載された次の記事の通り、あちこちで大幅に工事が遅れていることが周知の事実となってます。

リニア開業見通しが甘すぎ…計18工区で「2027年」に間に合わないと判明 「山梨県駅」完成は2031年
https://www.tokyo-np.co.jp/article/377325


そういえば、民家の庭先に気泡が噴出する事態となり、掘削が中断していた町田市においては、JR東海が住民の声を聞かず一方的に工事を再開したことで反発を招くなど、住民感情を逆なでするような事態にも陥っています。

⇒12月27日東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/376109

いっぽうで、日吉トンネル掘削にともない井戸水位低下と地盤沈下が引き起こされた岐阜県瑞浪市大湫町では、いまだ地表面の低下が収束してはいません。盆地中心部の低下速度が鈍り始めた反面、盆地周縁部の集落内での沈下が目立つようになり、だんだんと沈下が外側へと広がっているようにも見えます。
大湫町 地表変化1-15.jpg
JR東海ホームページより】

家屋等への具体的な対策・補償は、地盤の変動が完全に収束せぬ限り、予定すらたてられないでしょう。また、日吉トンネルでの湧水対策の手法も、参考事例としてJR東海が提示した北薩トンネル(鹿児島県)が予想外の大失敗となってしまったことから、目途が立たなくなっているようです。

日吉トンネルの掘削再開って・・・いったいいつになるのでしょうか?

もともと計画がムチャクチャだったゆえ、いざ実際に着工してみてあちこちで立ち往生しているのに、【リニア問題の最大の懸念「静岡工区着工」】だなんて、よく書けたもんだなぁと思います。


さて小林氏の記事ですが・・・

生態系保全の議論について全く触れていないんだけど、現状を理解しているんでしょうか? 

そのほか・・・
1ページ目中段
本当にリニアの早期開業を目指すならば、石破首相は一度、鈴木知事と面談して、なぜ、静岡県とJR東海との対話が進まないのか、ちゃんと聞いた上で理解すべきである。
いや、リニア中央新幹線整備事業ってJR東海が進めている民間事業ですって。首相が介入するような話じゃないでしょうに。

おなじく1ページ目中段
昨年5月に「反リニア」に徹した川勝平太・前知事が退場したことで、リニア着工に向けて大きな障害がなくなったと見る向きが多かった。

そんなことを考えていたのは、川勝叩きに勤しんでいた小林氏の記事(および同氏の記事をもとに量産されたコピペ記事や動画)を真に受けていた人ばかりでしょう。小林氏のメチャクチャな記事に惑わされることなく、会議の動画や議事録をチェックし、各種資料に目を通していたら、とてもそんなことは考えられなかったのではないか? 自分のメチャクチャな記事を棚に上げて何を書いているのやら。

で、2ページ目の下段に
国の有識者会議は2021年11月、山梨県境の10カ月間の工事中、静岡県外へ流出する最大5百万トンの湧水は「微々たる値」であり、大井川下流域の水環境に影響を及ぼさないと結論している。
なんてことを書いてあるけれど、これだってやっぱりオカシイ。

こちらが国の専門家会議の中間報告書だけど、確かに「県外流出による中下流域の地下水量への影響は、河川流量の季節変動や年毎の変動による影響に比べて極めて小さいと推測される」としながらも、「解析結果としては、工事期間中(そのうち、先進坑貫通までの約10ヶ月間)に県外流出が発生した場合においても、中下流の河川流量は維持される結果となったが、一方で、これらの解析結果は一定の前提を置いたうえでの計算結果であり不確実性を伴う」とも書いてあります。
中間報告書ポイント2.jpg

単純な話、県外流出期間(つまり静岡県内における山梨工区の掘削工事)が10ヶ月間でおさまるかどうかすら分からないわけです。中間報告書では、そーゆー不確実性があることを明記してあるのに、どーして小林氏の目にはとまらなかったのか。

この他にもツッコミどころはたくさんありますが、際限がないのでこれぐらいにしておきます。

1/19 補足
瑞浪市大湫町の地盤沈下について、JR東海が「トンネル工事が原因の可能性が高い」との見解を示したとのことです。補償に着手するとのことですが、しかし地盤沈下が収束しなければ、抜本的な補修などには踏み切れないのではないでしょうか。




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