南アルプストンネル山梨工区での先進坑掘削を再開

正月明けにひどい風邪をひいてダウンしておりました。

ダウンしている最中の1月8日、南アルプストンネル山梨工区の先進坑掘削が再開されたというニュースが入ってきました。

それを受けて、布団の中で考えていたことです。

24日の時点で21m掘り終え、県境までは残り451mだそうです。工事日数は14日間なので、1日あたり1.5mの割合で掘っていることになります。

さて、昨年行われた高速長尺先進ボーリングでは、当初は県境より静岡県側に南北に延びていると想定されている「県境付近の断層破砕帯」の東側への広がりを確認することが一番の目的に掲げられていました。また、湧水量の増加する地点での湧水圧試験なども予定されていました。

高速長尺先進ボーリング開始地点から「県境付近の断層破砕帯」の東端までは800m程度と推定されています。高速長尺先進ボーリングでは1000m程度の掘削は可能だと説明されていたので、理屈上は、「県境付近の断層破砕帯」の東端を確認できるはずでした。

しかし実際には、軟弱な地層に度々遭遇して機材が動かなくなり、県境に到達したところで作業が打ち切られ、湧水圧試験も不十分なものに終わりました。
先進ボーリング軟弱区間2.jpg
【2024年12月17日 静岡県中央新幹線環境保全連絡会議 第18回地質構造・水資源部会専門部会 配布資料より】


そのために、改めて県境に向けて先進坑を掘り進め、そこから再度、高速長尺先進ボーリングを実施したいということです。ただ、静岡県内の地下水を引き込んでしまう可能性があるので、どこかで再度中止しなければならない。どこで掘削を中止するかは未定で、今後の県との協議で決めてゆくとのこと。

失礼ながら、なんとも不審なんですよね・・・

あたかも、先進坑の掘削を進めるために高速長尺先進ボーリングを打ち切ったように思えてしまうのです。どうも「高速長尺先進ボーリングを破砕帯に到達させるため」を口実に、先進坑掘削を既成事実化させてしまうような思惑が見え隠れするような。

あくまで個人的な穿った見方ですけど、穿った見方をすることもできてしまう。

だからJR東海からは、高速長尺先進ボーリングの結果について詳細な報告を行われ、それを県の会議で審議したうえで先進坑再開の是非を判断すべきだったと思うのでした。ボーリングマシンが動かなくなるような脆弱な地質って何だったの???

また、こんな調子で南アルプストンネルの核心部分となる静岡工区は大丈夫なんでしょうか。

静岡工区の中でも、西俣非常口から長野県境方面にかけては、地上からのボーリングは全く行われていません。土被りが1000mを越すうえに、全く道がなく、国立公園の第3種特別地域や特別保護地区に指定されていることから、今後も地表からのボーリングは不可能でしょう。高速長尺先進ボーリングが唯一の地質確認手段となるのでしょうが、もっと”山の浅い”山梨工区で500mしか掘れなかったことから、どうにも不安が募ります。

この記事へのコメント