第22回静岡市 中央新幹線 建設事業 影響評価 協議会
昨日、第22回静岡市 中央新幹線 建設事業 影響評価 協議会 が開かれました。
トンネル工事に伴う地表付近の水分量の変化を予測し、それを植生図と重ね合わせることで、水分変化の影響を受ける可能性のある植生の面積(最悪のケース)を試算したということです。
●静岡朝日テレビ
リニア新幹線工事 JR東海は影響が予測される沢の具体的な調査方法と今後の計画を示す 静岡市の協議会
●静岡市ホームページ
で、会議資料に目を通してみましたが・・・正直な印象、意味があるのかどうか何だかよく分かりませんでした。
植生とは、ある場所に生えている植物の集団といった意味合いです。
植物の種により、必要とする土壌水分量は様々であると考えられます。小麦を水浸しの水田に播いてもうまく育たないでしょうし、逆に水稲をを畑に植えてもうまく育たないでしょう。
一口に川沿いに育つ植物といっても、カワラハハコやカワラニガナなどが日照りと乾燥にめっぽう強いのに対し、ワサビなどは対照的に暗い渓流を好みます(これらの種は分かりやすい例として出しただけで、当該の沢で確認されているわけではない)。
JR東海の説明では「沢の流量減少に伴う湿潤状況の変化によって生育状況に影響が生じるとは考え難い木本類が生育している樹林箇所が含まれることから・・・」と書いてあるものの、それが妥当かどうか分かりません。世の中には、シオジやカツラなど沢沿いの湿った場所を好む樹木も存在するわけで。
いっぽう、地形や土壌といった条件が水分条件を左右します。例えば谷間は尾根よりも湿潤であり、南向き斜面は北向き斜面よりも乾燥しやすい。谷間でも砂利の厚く堆積した層は水が浸透しやすく乾きやすい、岩の上は乾きやすいが岩陰は湿潤、といった具合で。
また、議論の対象となっているのは険しく急な沢。頻繁に土砂が移動しているでしょうし、春先には雪崩に見舞われるかもしれない。土壌水分量が多いであろう沢筋では、このような条件も植生の状態を左右します。
だから、植生への影響を見積もるだけにしても、ある程度の精度をもったデータを使わないと有意義な議論は難しいのではないかと思われます。衛星画像じゃちょっと粗すぎるんじゃないのかなあ・・・



せめて、ドローンで撮影した写真ぐらい使えばいいのに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こちらは静岡市葵区内、ある沢の風景(リニアトンネルとは無関係の場所)。

この沢について検討してみる。
ちょっとした増水で水に浸かるような部分には樹木や大型の草は生育せず、流れに沿った岩はむき出しである。
流れから離れた場所には大型の植物が目立つ。別角度の写真も用いると、フジアサミ、フサザクラ、ヤシャブシ、サワグルミ、ホソエカエデ(たぶん)、オオモミジ(たぶん)は確認できた。このうち特に前4種は不安定な土地に育つ種として知られている。水辺だけでなく崩壊地でもよく見かける種である。沢沿いで不安定な土地だからこうした種が目立っているといえるだろう。最後の2種は乾いた斜面や尾根でもよく見られる種である。手前にはニシキウツギ(もしくはヤブウツギ)が見られるが、これは開けた場所に育つ低木である。水辺だから育っているというわけではなく、沢沿いで高木が育たず日が差し込んでいるからここに生えていると考えられる。
したがってこれら7種は、たとえ何らかの原因で沢が涸れ地下水位が下がっても影響は少ないと思われる。
しかしよく見ると、所々、水しぶきのかかる濡れた岩肌にもコケや小さな草が張り付いているのが分かる(右下のほう)。こうした種の中には、湿潤な環境に依存した種が含まれているのかもしれない。そしてもしも流れが途絶えたら大きな影響を受けてしまうかもしれない。
植生の議論をするのなら、これぐらいの解像度でないと無理じゃないのかな?
トンネル工事に伴う地表付近の水分量の変化を予測し、それを植生図と重ね合わせることで、水分変化の影響を受ける可能性のある植生の面積(最悪のケース)を試算したということです。
●静岡朝日テレビ
リニア新幹線工事 JR東海は影響が予測される沢の具体的な調査方法と今後の計画を示す 静岡市の協議会
●静岡市ホームページ
で、会議資料に目を通してみましたが・・・正直な印象、意味があるのかどうか何だかよく分かりませんでした。
植生とは、ある場所に生えている植物の集団といった意味合いです。
植物の種により、必要とする土壌水分量は様々であると考えられます。小麦を水浸しの水田に播いてもうまく育たないでしょうし、逆に水稲をを畑に植えてもうまく育たないでしょう。
一口に川沿いに育つ植物といっても、カワラハハコやカワラニガナなどが日照りと乾燥にめっぽう強いのに対し、ワサビなどは対照的に暗い渓流を好みます(これらの種は分かりやすい例として出しただけで、当該の沢で確認されているわけではない)。
JR東海の説明では「沢の流量減少に伴う湿潤状況の変化によって生育状況に影響が生じるとは考え難い木本類が生育している樹林箇所が含まれることから・・・」と書いてあるものの、それが妥当かどうか分かりません。世の中には、シオジやカツラなど沢沿いの湿った場所を好む樹木も存在するわけで。
いっぽう、地形や土壌といった条件が水分条件を左右します。例えば谷間は尾根よりも湿潤であり、南向き斜面は北向き斜面よりも乾燥しやすい。谷間でも砂利の厚く堆積した層は水が浸透しやすく乾きやすい、岩の上は乾きやすいが岩陰は湿潤、といった具合で。
また、議論の対象となっているのは険しく急な沢。頻繁に土砂が移動しているでしょうし、春先には雪崩に見舞われるかもしれない。土壌水分量が多いであろう沢筋では、このような条件も植生の状態を左右します。
だから、植生への影響を見積もるだけにしても、ある程度の精度をもったデータを使わないと有意義な議論は難しいのではないかと思われます。衛星画像じゃちょっと粗すぎるんじゃないのかなあ・・・



せめて、ドローンで撮影した写真ぐらい使えばいいのに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こちらは静岡市葵区内、ある沢の風景(リニアトンネルとは無関係の場所)。
この沢について検討してみる。
ちょっとした増水で水に浸かるような部分には樹木や大型の草は生育せず、流れに沿った岩はむき出しである。
流れから離れた場所には大型の植物が目立つ。別角度の写真も用いると、フジアサミ、フサザクラ、ヤシャブシ、サワグルミ、ホソエカエデ(たぶん)、オオモミジ(たぶん)は確認できた。このうち特に前4種は不安定な土地に育つ種として知られている。水辺だけでなく崩壊地でもよく見かける種である。沢沿いで不安定な土地だからこうした種が目立っているといえるだろう。最後の2種は乾いた斜面や尾根でもよく見られる種である。手前にはニシキウツギ(もしくはヤブウツギ)が見られるが、これは開けた場所に育つ低木である。水辺だから育っているというわけではなく、沢沿いで高木が育たず日が差し込んでいるからここに生えていると考えられる。
したがってこれら7種は、たとえ何らかの原因で沢が涸れ地下水位が下がっても影響は少ないと思われる。
しかしよく見ると、所々、水しぶきのかかる濡れた岩肌にもコケや小さな草が張り付いているのが分かる(右下のほう)。こうした種の中には、湿潤な環境に依存した種が含まれているのかもしれない。そしてもしも流れが途絶えたら大きな影響を受けてしまうかもしれない。
植生の議論をするのなら、これぐらいの解像度でないと無理じゃないのかな?
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