ふてきせつにもほどがある その2
岐阜県瑞浪市内でリニア中央新幹線・日吉トンネルの掘削工事に伴って発生した水位低下と地盤沈下。この問題について話し合う岐阜県の有識者会議が6日に開かれました。
この会議でJR東海が提出した資料には、次のような記載がありました。これは南アルプストンネルでの環境保全を考えるうえでも無視できないと思われます。

【資料3 事案説明より】
トンネル内への湧水を減らすために薬液注入を試みたものの、周辺の岩盤の亀裂が様々な方向に向いているために、薬液が均等に浸透しないと考えられるとのこと。そしてそのために地下水による水圧がトンネルに不均等にかかってしまい、トンネル損傷につながる恐れがあるとのこと。というわけで、薬液注入を中止することを決めたのは報道された通り。
う~む、南アルプストンネルでの環境保全を考える上で、これは聞き捨てできないのでは・・・。
昨年12月17日に開かれた静岡県 中央新幹線環境保全連絡会議 第18回地質構造・水資源部会専門部会では、この岐阜県・日吉トンネルでの問題についてJR東海から報告がなされました。
南アルプストンネルでは、事前に長尺先進ボーリングで地質確認を行い、掘削に先立って薬液を注入する、掘削後に再度注入する場合でも、あらかじめ地山を改良してあるから注入しやすくなる、だから日吉トンネルのケースとは異なる・・・というような説明でした。
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/057/230/20241217shiryou4.pdf
静岡県側の委員も同様な見解だったようです。
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/057/230/20241217sankou1.pdf
しかし岩盤の亀裂の状態によってはうまく注入できず場合によっては中止せざるを得ない、といった可能性のあることは説明されていません。なので、下図のような予測は当てになるのか?などと改めて疑問に感じてしまうわけです。

【2023.11.7 国土交通省第27回 リニア中央新幹線静岡工区有識者会議 配布資料2<本編>3.トンネル掘削に伴う地下水位変化による沢の水生生物等への影響と対策】より抜粋
また一般論として、薬液注入によりトンネル周辺の岩盤が水を通しにくくなればなるほど、トンネルにかかる水圧は増すと思われます。
だから、完全に防水構造のトンネルでは掘削断面は円形が採用されるようです。円形というのは外からの圧力に強いためです。シールドトンネルもこのタイプ。

【新名神高速道路 箕面トンネルの事例】
しかし南アルプストンネルの場合、薬液注入が必要となる断層破砕帯区間でも、カマボコ型の断面を採用するらしい。

シロウト考えですが、これでは、おそらく薬液注入で徹底的な止水を試みることは構造的に難しいのではないかと思われます。それに防水シートを底面に張っていない。
なんだか中途半端な感じなんですよねぇ。
静岡県は、岐阜県での状況について、もう一度JR東海に事情説明させた方がいいのではないでしょうか。
この会議でJR東海が提出した資料には、次のような記載がありました。これは南アルプストンネルでの環境保全を考えるうえでも無視できないと思われます。

【資料3 事案説明より】
トンネル内への湧水を減らすために薬液注入を試みたものの、周辺の岩盤の亀裂が様々な方向に向いているために、薬液が均等に浸透しないと考えられるとのこと。そしてそのために地下水による水圧がトンネルに不均等にかかってしまい、トンネル損傷につながる恐れがあるとのこと。というわけで、薬液注入を中止することを決めたのは報道された通り。
う~む、南アルプストンネルでの環境保全を考える上で、これは聞き捨てできないのでは・・・。
昨年12月17日に開かれた静岡県 中央新幹線環境保全連絡会議 第18回地質構造・水資源部会専門部会では、この岐阜県・日吉トンネルでの問題についてJR東海から報告がなされました。
南アルプストンネルでは、事前に長尺先進ボーリングで地質確認を行い、掘削に先立って薬液を注入する、掘削後に再度注入する場合でも、あらかじめ地山を改良してあるから注入しやすくなる、だから日吉トンネルのケースとは異なる・・・というような説明でした。
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/057/230/20241217shiryou4.pdf
静岡県側の委員も同様な見解だったようです。
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/057/230/20241217sankou1.pdf
しかし岩盤の亀裂の状態によってはうまく注入できず場合によっては中止せざるを得ない、といった可能性のあることは説明されていません。なので、下図のような予測は当てになるのか?などと改めて疑問に感じてしまうわけです。

【2023.11.7 国土交通省第27回 リニア中央新幹線静岡工区有識者会議 配布資料2<本編>3.トンネル掘削に伴う地下水位変化による沢の水生生物等への影響と対策】より抜粋
また一般論として、薬液注入によりトンネル周辺の岩盤が水を通しにくくなればなるほど、トンネルにかかる水圧は増すと思われます。
だから、完全に防水構造のトンネルでは掘削断面は円形が採用されるようです。円形というのは外からの圧力に強いためです。シールドトンネルもこのタイプ。

【新名神高速道路 箕面トンネルの事例】
しかし南アルプストンネルの場合、薬液注入が必要となる断層破砕帯区間でも、カマボコ型の断面を採用するらしい。

シロウト考えですが、これでは、おそらく薬液注入で徹底的な止水を試みることは構造的に難しいのではないかと思われます。それに防水シートを底面に張っていない。
なんだか中途半端な感じなんですよねぇ。
静岡県は、岐阜県での状況について、もう一度JR東海に事情説明させた方がいいのではないでしょうか。
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